バッドノウハウと TeX と書籍組版
→バッドノウハウと「奥が深い症候群」で、TeX を「バッドノウハウの温床」としてゐるのが納得できない件。自分なりに整理がついた。下記の (6) が、私の言ひたかつたこと。ちなみに私の中では LaTeX も TeX の一部です。
(2) 書籍組版の世界と云ふのは、まさに「バッドノウハウ」の魔窟である。専門家以外は全く手出しできない。この意味で、書籍組版は「恐ろしく奥が深い」世界である。
(3) TeX は優れた設計・実装を持つ。従来は専門家以外は手出しできなかつた書籍組版を、一般の人でも何とか使へる程度に一般化した。それなりに使ひ易い環境を提供した。その証拠に、組版のノウハウを持たない人でも、たつた数日間学習しただけで、非常に読み易い紙面を実現できる。特に、欧文・数式の読み易さは、そこらの組版技術者が裸足で逃げさうなほどの高品質である。つまり、TeX は、書籍組版と云ふ「恐ろしく奥が深い」システムに対する、それなりに優れた「グッドラッパー」である(グッドラッパー:→バッドノウハウからグッドラッパーへ)。
(5) 複雑怪奇なのは TeX ではなく、書籍組版である。悪いのは TeX ではなく、書籍組版である。
(6) 書籍組版の複雑怪奇さを指摘せずに、TeX を「バッドノウハウの温床」とするのは、適切でない。実際のところ、TeX は書籍組版の持つバッドノウハウの大半を解消してゐる。むしろ評価されるべきだ。