「注」と「註」

apkz2006-01-24


大西科学」の「注釈を考える」の「註7」より引用。

註7:注釈を一文字で表すのに「注」と「註」のどちらを使うか、これも悩んだ箇所です。辞書を引くとどちらでもよいらしく、ということはあとは私がどちらが好きか、という問題になるのですが、結局「専用工具が使える場合はそちらを使う」という原則にのっとり、註を使うことにしました。

さう言はれてみると、私も前から氣になつてゐたやうな氣がします。ちよつと調べてみる。

  • そもそもの話としては、「註」が正しいやうです。
    • 一字のみの「註」に限らず、「註釋(注釈)」、「註記(注記)」、「註文(注文)」などの熟語でも、本來は「註」が正しいやうです。
    • 「註」は「書き記す」とかの意味。「注」は「そそぐ」とかの意味(注意、注力など)。
  • 「註」の字が、當用漢字(常用漢字)に採用されなかつたために、本來「註」と書かねばならないところを、「注」で代用することが正式(?)に認められたやうです(「註」の利用が禁止された訣ではない)。
  • 一字のみのとき常用漢字にない字「註」を使ひ、「注釈」のときには常用漢字で書く、といふのは、微妙に統一感がないやうな氣がするけど、現代の國語教育の範圍では、「正しい」表記。

漢字の細かな使ひ分けに關しては、當用漢字(常用漢字)以降の辭書は、ほとんど、あてにならない。大抵の辭書で、「注釈」と「註釈」を同列に扱つてゐるけど、これが、當用漢字(常用漢字)のせゐで突然同列になつたものなのか、それとも當用漢字(常用漢字)以前から同義語として扱はれてゐたものなのか、明確に判別することができない。

なにかうまい方法はないかなあ……。